用語説明

札所 ふだしょ

紙が貴重だった昔は木製の納札を自分で作り「奉納四国八十八ヵ所同行二人」と墨書きした物を88枚持参して、寺の門柱や板壁、本尊が祀られている御堂の柱等に打ち付け、巡礼の証しとした。
巡礼の寺を「札所」と呼び、札所への参拝を「打つ」というのはこの名残。

順打ち じゅんうち・逆打ち ぎゃくうち

順打ち・逆打ち
お遍路で札所(お寺)にお参りすることを「打つ」という説明をしましたが、1番から札所の番号順に巡拝することを「 順打ち」、「本打ち」とも言います。
逆に札所番号の最後から反時計回りに巡拝することを「逆打ち」といい、これは「衛門三郎の故事」によるもので、「順打ち」の修行中の弘法大師に出逢える事を信じて行われたと言われています。
衛門三郎が 「逆打ち」した年が閏年であった事や、 「逆打ち」が道しるべなどを考えると歩く苦労が倍増することから、功徳も「順打ち」の3倍と言われています。
通し打ち・区切り打ち
札所を一度に全て巡拝することを「通し打ち」、時間の余裕の無い時に、自分で札所を数ヵ所に分けて、時には何年もかけて回る人もいます。
(区切り打ちの場合、一般には、前回終点となった札所に再度お参りして再開するのが普通)
一国参り
四国四県を徳島(阿波国)1~23寺・高知(土佐国)24~39寺・愛媛(伊予国)40~65寺・香川(讃岐国)66~88寺の各一国の札所を4回に分けて巡る方法。

遍路ころがし へんろころがし

歩き遍路の最初の難関は11番・藤井寺から12番・焼山寺への山道
それまでの舗装された里の道から「焼山寺へ へんろ道 健脚5時間 平均6時間 弱足8時間」の標識で13㌔弱の行程
徳島県内では「一に焼山、二にお鶴、三に太龍 へんろ泣く」といわれてます。
高知の関所寺としては27番・神峯寺。
平地でも厳しいのは23番・薬王寺から24番最御崎寺の海辺づたいの灼熱のアスファルトの道
36番・青龍寺から37番・岩本寺まで。
そこからさらに数日かけての38番・金剛福寺。
43番・明石寺から44番・45番までは幾つもの峠越え。
さらに60番・横峰寺・66番・雲邊寺・81番・白峯寺へ至る各登山道が「遍路ころがし」。

白衣・笈摺 びゃくえ・おいずる

白衣のはじまりは、徳道上人や花山法皇が笈という箱に観世音菩薩を背負い西国を巡拝したとき、俗身に笈が触れないようにという清浄へのこころがけから。
笈摺は、本来、白衣の背が笈で擦り切れることを防ぐために着用する袖のない木綿の着物のこと。
白衣の背中には弥勒菩薩の梵字と「南無大師遍照金剛 同行二人」の文字がかかれ、地元と人々からも「お遍路さん」と認知してもらえます。

金剛杖 こんごうつえ

金剛杖は御大師様の分身として大切に扱うだけでなく、山道などの悪路を行く際に力を発揮するし、平地でも歩行を助けます。
宿に着くとまずその先端をよく洗い、床の間などに立てかける
杖の上部には五輪が刻まれ下から地・水・火・風・空を表す梵字が刻まれている。

菅笠 すげがさ

思っているよりも、日光や雨を防ぐのに大変便利で、菅傘には次の6つの言葉が書かれています。
「悟故十万空」・「迷故三界城」・「同行二人」・「何処有南北」・「本来無東西」・弘法大師を表す梵字が1字です。
これらは、自然や宇宙の中には永遠の命があり、精進や修行を重ねながら自分もまた無限の命と一体化していこうという遍路の決意を示したものです。

納札 おさめふだ

薄紙短冊の札には参拝年月日と自分の住所、氏名を記入し、参拝する時に本堂や大師堂の納札入れ箱に納めて、心願の成就を祈る。
遍路同士の挨拶交換や、お接待を受けたら、納札をお礼に差し出すのが礼儀とされてます。
色札(巡拝した回数により色が変わる)の金札や錦の札を持ち帰れば霊験ご利益ありで、団体遍路やグループ遍路のベテランが納札箱をのぞき、それを奪い合う醜い姿を見ることがあるが、お大師様はどのように見ているでしょうか?

納経帳 のうきょうちょう

参拝を済ませた後、ここに御宝印を捺してもらう。お参りの証明書のようなもので結願すれば、お遍路自身が来世の旅路に持参するものとして扱われる。

頭陀袋 ずだぶくろ

お経の本やお遍路に必要な物を収納する物だが、現在では

輪袈裟 わげさ

お坊さんの法衣を簡略化した、礼拝の正装具で「四国八十八ヵ所巡拝 南無金剛大師遍照金剛」と書かれている

念珠 ねんじゅ

瑪瑙や瑠璃などの念珠は魔除けになるといわれているが、巡拝では祈りの時に使う。お経の数を勘定する時にも使用する。

発願 ほつがん

巡礼の旅に出ようと思い立つこと、又は最初の札所での打つ行為そのもののこと。
ちなみに最初に巡拝する札所を発願所という。

結願 けつがん けちがん

すべての札所を巡拝し、最後の札所(結願所)を打つことを意味し、巡礼の旅に対する願いが満たされることを「満願」又は「満願成就」という。区切り打ちの場合は最後に参拝した札所になる。

同行二人 どうぎょうににん

白衣、納札、菅笠などに墨書きされている「同行二人」の文字。
つねに弘法大師と連れ添って巡拝しているの意味があり、苦しい時も修行のひとつとして考え、決して自分ひとりではないという巡拝の基本的な考え方。

お接待 おせったい

「お接待」とは、遍路に対して地元の人々が食べ物・飲み物・宿・お金・励ましの言葉などを与えることです。
昔は、こうした施しによって、遍路はかろうじて生き抜くことができたわけですが、地元の人々にとってみると、遍路は弘法大師の身代わりでもあり、また自分たちに代わって遠方の札所でお参りをしてくれる、宗教的な価値をもった存在であったのです。したがって、彼らが差し出すものは、難渋している者に対する援助であるだけではなく、仏に対する喜捨でもあるので断らないで、無心に「南無大師遍照金剛」と三回お唱えして、その人の幸せを祈ります。お接待を受けたら、納め札で返してください。

善根宿 ぜんこんやど

お接待の一つで、見ず知らずのお遍路さんを無償で自宅に泊めること。

御詠歌 ごえいか

神仏に対する祈りの歌で、四国八十八ヵ所の各お寺の縁起にしたがって、悟りを開き仏になる道を、縁語(えんご)、 懸詞(かけことば)などを巧みに使って詠い上げ、本当の仏になる道を教え示している。 特徴を読みこんだもの。

山門 さんもん

寺の入り口になる門で、仁王門は金剛力士像が安置され、鐘楼門は梵鐘が吊されている。
寺の名称は「竺和山霊山寺」というように必ず○○山~となっているために山門と呼ばれている。

本尊 ほんぞん

寺院の象徴で崇拝の中心の本堂に祀られた仏像。
納経の時には、それぞれの真言を唱える。

本堂 ほんどう

寺院の中心となるお堂で、それぞれの本尊が安置されている。

大師堂 たいしどう

真言宗の宗祖・弘法大師が祀られているお堂で、大師像が安置されている。四国霊場の巡礼の際は本堂の後必ず大師堂を参拝する。

納経所 のうけいしょ

納経帳にお経を納めた印としての墨書や朱印をもらう所。

出鐘 でがね

境内の堂宇を参拝した後に打つ鐘のことで、カネが出るや死者を送る時に打つといった縁起の悪いことから、タブーとなっている。

御影 おみえ

札所本尊が秘仏のため直接拝せないため、札所本尊の尊像を白い紙に刷ったもの。

標石 しるしいし

遍路道に立てられている道案内の石柱で、次の札所までの距離や方向が標されている。

宿坊 しゅくぼう

お寺にある宿泊施設で、早朝や夕刻にお勤めに参加することが出来る。

お砂踏み おすなふみ

西国や四国の各札所からいただいた境内の砂を、寺院の御堂などで一ヵ所ずつ踏みながら礼拝するこで、実際に巡礼したことと同じ功徳が得られるようにしたもので、年中行事として行われることが多い。